2年後期授業雑感 その2【刑法・刑訴・法曹倫理その他】

 前回の続きで、こちらでは刑法・刑訴・法曹倫理・民事法文書作成等についての紹介です。

 

刑法総合2
 総論の共犯論と各論を扱います。前期と同様にケースブック刑法が指定され、授業の進め方も同じです。各論部分なだけあって前期より具体的なイメージが付きやすく勉強は進めやすくなったと感じましたが、分量が増えて予習の負担はそれなりに重かったです。細かい論点や学説も扱いますが、司法試験を意識した解説もあり、特に事例検討回は非常によい勉強になったと思います。
 予習と試験対策は徹底チェック刑法と十河先生の刑法事例演習をメインに、適時参考文献に指定された論文や判例を参照していました。悩みどころも役に立つんじゃないかなと思います。このほか、事例検討回では司法試験の過去問を参照するのがおすすめです。
 期末試験は毎回かなり難易度が高い問題が出題されます。学生があまり深く勉強しないような犯罪をメインに所々共犯や強盗などの重要論点が絡んでくるなど満遍なく論点を問われる傾向にありますし、2年連続で同じ類型の犯罪を別の観点から問うような出題をすることもあるのでヤマをはると痛い目をみるかもしれません。知識量よりは現場での思考力や処理能力を試されているように思え、初見の問題でも慌てずに基本的な検討手順(重い罪から軽い罪へ等)を崩さず条文を指摘し、事実をしっかり評価すれば一応の水準には達するのではないでしょうか。採点は比較的甘めですが、決して油断せず普段から事例問題を注意深く検討しておく必要があると思います。
 
 
 
 公判・証拠法・上訴を扱います。教材は前期と同様にケースブックを使用し、事前に授業で扱う設問が指定されます。訴因や伝聞などの主要な分野だけでなく公訴提起や科学的証拠などの細かい部分もしっかり勉強することになりますし、前期よりは問答も厳しく中途半端な回答ではなかなか放してくれません。とはいえ授業内容は素晴らしく、判例の精読をとおして事実の評価の仕方を深く学べるほか、理論的な説明が大変わかりやすいので論証をブラッシュアップするのに非常に役立ちました。前期のIKD先生は和やかな雰囲気だったのに対して後期のHRE先生は厳しそうな雰囲気でガンガン詰めて来るので緊張感がありますが、質問などでお話する際はとてもやさしく笑顔で対応してくださるので積極的に質問にいくとよいでしょう。
 予習の際は川出先生の判例講座や古江本が役立ってくれましたが、期末対策としては手を広げずに使い慣れた問題集と基本刑訴を何度も繰り返すのがおすすめです。可能ならば司法試験の過去問で事実の分析の訓練をしておくとなお良いと思います。
 試験は基本的な事例を捻った長文問題が出題されました。高度な理論を展開するよりは、典型とは少し外れた事実関係でも正確に分析して論点を洗い出し、必要な事実を拾って規範と整合的に評価することが求められているように思え、あまり理論を煮詰めるよりは問題演習を多くこなして処理の手順を身に付けておいた方がよいと思いました。成績評価は少し厳しめかもしれませんが、問題の所在を明らかにすることと基本的な論点の理解を正確に示すことを厳守すれば変な点はつかないと思います。
 
 
 
法曹倫理
 教科書は弁護士職務基本規定(通称緑本)と弁護士倫理(飯村ほか)が指定され、最初と最後の数回が講義で、そのほかは毎回与えられる課題を担当者が発表する形で授業が進みます。担当の先生により詳細なレジュメを配布してくれたり解説で済ませたりと差があり、課題の問題の解答例を入手できれば期末試験の勉強がぐっと楽になると思います。このほか高中法曹倫理が事例問題と解説の形式で勉強しやすかったので、私はこちらをメイン教材にしていました。ただ、期末の成績を見る限り件の解答例を使った方がいいかもしれません。
 期末では独立した短い事例問題が複数出題されるので、事実を拾って字数を稼ぐのが難しく、割と暗記が重要かもしれません。成績評価の実感としては、一夜漬けに近い勉強でも良い評価の人が居る一方で、しっかり勉強しているはずの人が単位ぎりぎりの点数をつけられたりと、なんだかよくわからないです。私は暗記を横着して規範を薄く事実を丁寧に、といった形で書いたところびみょーーな点数が来ました。
 
 
 
民事法文書作成
 2年後期から3年前期にかけて通しで開講される授業で、実務家の視点から民事の問題に対して解決策を提案したり準備書面を作ったりします。他の試験とは異なりロールプレイの側面が強く、あくまで依頼者の要望を叶えることを念頭にした解答が重要なようで、依頼者の不利になるような事実を拾って色々書いたりすると小言を言われます。科目により問題の難易度は異なり、特に民法はかなり難しかったです。
 成績評価は合否のみで、個々の起案は不合格の評価さえ受けなければ問題ありません。相対評価とはいえ評価基準も今のところ甘めで、全く何も書けないとかよほど変なことを書かない限り不合格にはならないと思います。だいたい2か月に1回くらいの頻度で実力テストを受けるようなイメージですね。
 
 
 
憲法総合
こちらの詳細は他の方の解説に委ねたいと思います。